2013年12月30日月曜日

魔女っ子週報

企画ものばっかりでもアレなので、最近読んだ漫画のことなど。

ふらいんぐうぃっち / 石塚千尋



「別冊少年マガジン」からの出物が最近増えましたね。友人の北野さんに勧められて読んだのですが、いやあこれがなかなか面白い。

魔女っ子の主人公が東北の片田舎に引っ越してくるという、ちょっと「魔女の宅急便」を彷彿とさせるような設定ながら、別段パン屋の片隅に住むわけでも仕事をするわけでもなく、女子高生として何の変哲もない……ように見えるけど、実際はけっこうヘンテコな日常に周囲を巻き込む、というお話です。

主人公がやや天然で、登場人物たちのボケとツッコミのやりとりを始め、作風ものんびりしているというか、日常の「間」を大切にしている風ではあります。しかし、時折飛び出す魔女っぽい個性とか、訪れる奇妙な客人たちが良いアクセントになっていて、これからどうなるのかしらねーと淡い期待を抱かせてくれます。ラブコメとかは、たぶんしなそう……

「日常ものを装っている作品は、実際にはものすごい非日常を扱っている」というのは「日常もの」のお約束です。「何も起きない系」なんて言われたりしますが、それは「何か起きる要素がありったけ詰まっているのに、何も起きない」からこそ、外しの絶妙さ加減が面白いわけで。この作品もそんな風になっていけば良いなあと、今後に期待しています。

ちなみに講談社のWEBで第一話を読むことができますので、気になる方はどうぞ。

別冊少年マガジンWEB ふらいんぐうぃっち



それにしても、

これとか
これとか


あ、これもそうか。









魔法少女ではなく、魔女っ子ものって、今トレンドなんでしょうかね。

……と考えてみたけど、いくら考えても上記以外の作品が思いつかなかったので、全然そんなことはなかったぜ。

では次回。


2013年12月18日水曜日

かみさまんが大王 その2

前回ご紹介した「かみさまんが」で、タイトルを思い出せなかったり寡聞にしてしらなかった作品を列挙してみようと思います。アドバイスやご紹介を頂いた皆様、ありがとうございます。

一応、ご説明しておくと「かみさまんが」というのは、主に現代日本で何らかの理由で神様がやってきたり顕現したり出くわしたり取り憑かれたりして、あれやこれやと日常的な騒動を繰り広げる、もはやひとつのジャンル化した傾向にあるマンガのことです。

ちなみに「かみさまんが」は当方の造語ですが、調べてみたところによると、同じタイトルでそのもののマンガもあるとかないとか……(WEBによる個人作品のようです)

かみあり


このラインナップで「かみあり」がないなんて! と前回ご指摘をいただいた作品です。すみません、タイトルが思い出せなかったんです。
旧暦の10月は全国の神様が出雲の国に出張に出かけてしまうので神無月と呼ばれるものの、島根県出雲国は逆に神様が集まってくるので、10月を「神在月」と呼びます。本作はそんな島根県を舞台に、集まってきた神様たちに妙に関わりあいになりやすい女子中学生二名を主人公にしたドタバタコメディです。ラブコメとかは、特にない。
面白いのは、ちゃんと神様の名前や設定を踏まえた上でキャラクター化していること。そして、のべつまくなしに何でも神様に祭り上げて、盆とクリスマスと正月を一緒くたに扱う、悪い言い方をすればいい加減な日本人を、無節操とではなく懐の深さととらえていること。 
日本以外の神様も登場しており、ソロモンの72神は悪魔だし、キリスト教のガブリエル(パンチラは絶対に許さない!)なんて天使ですがカンケーありません。だって日本人はなんだってキャラクター化して祭りあげちゃうもんね。 
現在、単行本は4巻までリリースされています。でも神在月って10月だけで、旧暦入れてもいいとこ二ヶ月のはずなんですが、作品自体は一話完結形式で延々続いています。アニメ化されないかなー

ノラガミ


電話一本でどこでも参上! 社もなければ信者もいないマイナーで無名なデリバリーゴッド「夜ト神」と、彼に関係したばかりに魂が抜けやすい体質になってしまった女子中学生が繰り広げる伝奇ファンタジーです。毘沙門かわいい。
主なお話は、神様が道具として使役する人の魂「神器」と、神様の関係に主眼が置かれています。この関係性が、騎士とファティマというか、死神の職人と武器というか、王と麒麟というか、そういうアレですよわかるでしょ! ……をホーフツとさせ、たまらんものがあるのです。毘沙門かわいい。 
自分は本来、主人公が周囲から理由もなく蔑まれバカにされるような作品は好きになれません。序盤、夜トが自分の神器からすらバカにされているのはどうなんだろうと思っていたものの、読んでいくうちに疑問はすぐに氷解しました。 
うん、この神様、本ッ気でウザいね☆ よくまあこんなウザいキャラを作り出せるものだと作者に賛辞を送りたいです……毘沙門かわいい。
未読の方のために多くは語りませんが、夜トのイタズラで強引に高校デビューをさせられてしまった女の子の「時化(シケ)た学校だぜ…」を読んだ時には腹抱えて笑いました。ホントに。 
今後は「夜ト」の一切不明な出自や来歴について解き明かされていく事が予想され、続刊が待ち遠しい限り。 
来年1月からアニメ化されるらしいので、こちらも愉しみ。毘沙門かわいい。 神谷浩史の「ぶゎーーっきゃろぉーーい!!」(いつものアレ)が早く聞きたいです。自分(神)の存在を全否定する説教を人にノベる夜トからガゼン、目が離せないぜ!

貧乏神が!


家が金持ちで巨乳で学業優秀でスポーツ万能で、しかも人並み外れた幸運の持ち主! だけど性格最悪な女子高生のもとへ、運気のバランスを保つ目的で超絶ウザい性格の貧乳神もとい貧乏神がやってきて、ツブし合いを繰り広げるというお話。
不幸な主人公のもとへ愛の女神が! という、かみさまんがにアリガチな展開の逆をついた設定のみの出オチと思いきや、女同士の友情あり、恋あり、意表をついた新キャラとのバトルありで飽きさせません。とにかくハイテンションでギャグもパロディも冴えまくり。 
性格最悪な主人公と、性格最凶な貧乏神の紅葉が、だんだんトムとジェリー的「仲良く喧嘩しな」な関係になりつつあったりもするのが、読んでいて何とも面映い感じ。最終的には、ああこれ王道の少年漫画じゃないか! といった形になっていきました。
不思議だったのは、まんがなら普段ぱぱぱーっとあっという間に読めてしまう自分が、16巻まで読み切るのにけっこうな時間を要したこと。画面の密度が濃いせいですかね。情報量も登場人物もテンコ盛り。じっくり楽しめます。それからこれ、2012年にアニメ化されていたんですね。見なきゃ……!

百花のしるし


新興住宅地に宿った土地神の「百花」が、地元の高校生二人を巻き込みながら街を守るために奮闘したりしなかったりするお話。上げてきた三作品に比べると、何も起こっていないも同然のほのぼのコメディです。
しかしながら、新しくできようとしている街には新しい神様が宿るとか、元々その土地にいた神様とどう折り合いをつけていくのかといったテーマ自体は、かみさまんがを色々読んできた中では新鮮な視点でした。 
1巻完結なのでさっと読めますが、少し惜しいような気もします。

お嫁さんは神様です


ごくふつうの男女が出会い、ごくふつうの結婚をしました。ひとつだけ違っていたのは、お嫁さんは神様だったのです……と、ありがちな紹介文をついつい書きたくなってしまいますが、今週紹介するもののなかでは断然イチオシ。
作者は、隠れた名作「VIVO!」の瀬川藤子。マッグガーデンWEBで連載していて、すぐ読めるので今すぐ嫁、じゃなかった読め。
自分はこの人の漫画が大好きでしてね。手放しで褒めちゃう。もーねー。奥さんのサクヤが可愛いんですよ。家事全般完璧だけどちょっと天然で抜けてる奥さんって、奥さんもの漫画のテンプレっぽくはありますけれども。
神様だってことはほっといて日常展開になるのかと思いきや、しっかり日本神話の人間(神様?)関係もなぞっていたり、かと思ったらやっぱり日常だったりという脱力加減がとてもいい感じです。
この漫画を象徴するような一コマ。
しかしこのテの、奥さまファンタジーまんがも一ジャンル化した感がありますね。決めた。次回は「おくさまんが」でくくって作品を集めてみたいと思います。なんかこうやって強引にジャンルを創出して紹介していくのがこのブログのスタイルになるのだろうか……

八百万


江戸時代が舞台のかみさまんがです。修行? のため町内に引っ越してきた若い狐の神様とその神使たちが、町内で巻き起こる不審な事件に、頼りにならない同心を引っ張りながら立ち向かうというミステリ仕立ての作品。 
時代劇のミステリって個人的に好きなんですよね。宮部みゆきのアレとか、藤沢周平のソレとか…… 
残念ながら一巻で完結してしまったようですが、注目すべきは作者のみもり。「ひぐらしのなく頃に」のコミカライズの? と言った奴は廊下で立ってなさい。「アオハルッ!」のみもりですよ! 個人的に大好きなので、もう手放しで褒めちゃう(こればっかり)。

神様家族


ラノベのコミカライズなので正確には「かみさまんが」ではありませんが、漫画版は漫画版でよく出来ていたのでご紹介。
神様の息子である主人公・佐間太郎(このいい加減なネーミング…)が人間の感性を身につけるべく人間界の学校に通い始めて恋もするが、彼はなにぶん神様の係累なので、望んだことがすぐ叶ってしまって……というお話。でも結局あんまり人間の登場人物って出てこないんですよね……。 
何がいいってラブコメ部分ですよ。あとキャラが愉快なので読んで損はないです。漫画版を読んで気になったなら原作をどうぞ。

かみちゃまかりん


作品そのものの存在は知り得たのですが……未読のためレビューできず!コゲどんぼ先輩サーセン! そのうち必ず紹介させていただきます!!


といったわけで第二回、いかがだったでしょうか。

「地獄堂霊界通信」はどうなんだとか、「夜桜四重奏」とか「ラブやん」はかみさまんがなんじゃないか? とか、「魔探偵ロキ」は入れないのかとか迷いはあったものの、今回はこのへんで。また機会があったらかみさまんがを紹介させていただければと思います。

それではまた次回。



2013年12月9日月曜日

かみさまんが大王

最近、初読の漫画を読んでいると、あれ、これもかーと思う類似作品が多いです。

なにかというと、神様をキャラクター化しているという点。しかもラブコメ率が異様に高い。
まあ八百万の神がおわして、昔から神様をトモダチ感覚でとらえてきた日本のお国柄を考えれば至極当然のことなのかもしれません。

というわけで、比較的近年の作品の中から、読んだ神様漫画。略してかみさまんがを取り上げて紹介してみたいと思います。

かみちゅ


近年かといわれると疑問符がつきますが、はずせないのがこれ。
女子中学生が何の前触れも説明もなく神様になってしまう「かみちゅ」です。
だからといって何がどうしたということもなく普段通りの日常漫画だったりするあたりの脱力感が実によいですね。鳴子ハナハルの超絶上手くてかわいい女の子たちを見ているだけで満足できます。

いもかみさま


女の子が神様になってしまうというつながりでこれ。
水神がどうたらこうたらで神様になってしまった妹を一所懸命守ろうとするお兄ちゃんが主人公のお話。ラブコメというか基本ギャグなエロコメなんですが、時々シリアスな展開になります。
幼なじみちゃんのエロさには、読者の多くがノックアウトされたことでしょう。
神様なのは実は妹じゃなくてお兄ちゃんのほう……? という謎要素もあり、なかなか面白いです。

神様はじめました


女の子が神様になちゃう系で少女漫画から。借金のカタに売り飛ばされそうになっていた女子高生が土地神になって、ツンデレなイケメン神使(神の従者)とキャッキャウフフ♪ するお話。
花とゆめ連載作品らしく、なかなかギャグも展開もハイテンションで面白いのですが、主人公とイケメンとが両想い(この言葉使うの恥ずかしい…)になってからは若干失速気味にも感じます。もうすぐ終わるのかな… 
なお今作の男女を逆転させれば、よくあるラブコメかみさまんがと同じ状況となることに多くの人が気づいたことでしょう。少年向けだろうが少女向けだろうが、無条件に言うこときいてくれるイケメン・美少女が現れるとかそういう感じ。考えることは同じですね、まったくもって。

ぎんぎつね


実家の神社に仕える巫女の主人公と、神使として働く狐の化身が送る日常ファンタジー。アニメ化されました。神様はじめましたと思いっきり内容がかぶっているようですが、こちらのほうが若干人情話多めというか、わりとエグい話が多いです。
主人公がとにかくかわいいのも、神様はじめましたとは異なる……というと狐の神使が飛んできそうなので控えます。

くまみこ


神様ではなく神に仕える巫女さんが主人公。ど田舎の山の中で、なぜか喋れるクマと一緒に日常生活を送るという、のんびりホワホワな日常系のお話。これといって危機的状況が起きるわけでもなく、特に緊張感もないので安心してのんびり読めます。その分、特に書くこともないのが悩みどころです。

ゆめくり


温泉巡りが趣味の高校生(渋いな…)の主人公が、あるとき訪れた温泉で温泉の神様(美少女)の神事の場面に遭遇してしまいます。神事を一般人に見られた神様は神性を失ってしまいそうになりますが、神様に惚れてしまった主人公がその温泉の従業員になり「関係者」として住み込むことで、神様の神性を保つことに。そして主人公と、神様の弟子の女の子たち(いずれも美少女)たちとののんびりした奇妙な日常が始まります。 
と書くとハーレムものかと思えますが、もっぱら主役は女の子たち同士の愛情と日常といった感じで、主人公は影も形もありません。漫画として魅力的かと言われると、個人的には正直あんまり……ですが、とりあえず温泉には行きたくなる作品です。

まつるかみ


親を亡くして天涯孤独になった兄妹が、氏神を祀る家を継ぐという条件でド田舎に引っ越してきて、神様同士のいがみ合いやら怪異やらに巻き込まれながら逞しく生きていくという話。 一歩道を外れると、うっかり幽世に迷い込んだりする展開が好みです。 
白眉なのは、一見おとなしそうなお兄ちゃん。実はものすごい腹黒シスコンであるというキャラ付けも、少女漫画らしいといえばらしくて面白いです。このお兄ちゃんの本性をかいま見るためだけに読んでも損はないです、はい。

まおまりも


村の神のお嫁さまになる儀式に、手違いで捧げられてしまった男の子が、女の子になってしまうというお話。以降、男の子だった頃から実は主人公のことが好きだった実の姉(!)と、女の子になってしまったことで主人公のことを意識しはじめる親友との間で揺れ動く恋模様……なんでしょうか? 
百合展開あり、男の娘展開あり。基本姿勢はシリアスなはずなんですが、展開される恋愛事情が複雑過ぎて、どう感じて良いのか読んでいて目が回ること請け合いです。 
あ、いちおう神様であるところの「主様」も重要な役どころを担っているので、かみさまんがであることには間違いありません。衝撃の結末を見よ。

いなり、こんこん、恋いろは。


同級生の男の子に恋している冴えない女の子(主人公)が、仲良くなった神様から変身能力を与えられて、能力を使って騒動を巻き起こすというラブコメファンタジー。なんですが、主人公の行動が、これちょっと身勝手じゃない? と思う部分がなきにしもあらずで首をひねることも。 
しかし! 真の注目ポイントは、主人公に霊能力を与えた神様・宇迦之御魂神と、最初から霊能力を持っている主人公の兄との、はっきりしない恋模様にこそあります! これがラブコメ好きにはたまらないご馳走なのです。最近の展開では主人公もいろいろ改心して修行に励んだりしておりますし、うか様と兄貴もはっきり自分の気持ちを自覚し始めているので、ますます目が話せません。 
あ、あとこの作品に出てくる天照大御神は、これまで読んだ漫画作品の中で最高かつ最強の造形だと思います。2014年1月からアニメが放映されるようです。

まがつき


神社の掃除をしていた主人公が、うっかり祀られていた鏡を割ってしまい、鏡に宿っていた疫病神・禍津日神(美少女)に祟られてしまうというお話。 
この部分だけ抜粋するとなんだか怖いお話みたいですが、抜かれた魂は美少女神が所持→ずっと触れ合っていないと死んでしまう→万が一魂が抜けた時にはキスで蘇生するってなんだそりゃなエロ寄りのラブコメ作品です。 
しかも魂の所持者は紆余曲折あって
  • 美少女幼なじみ(ツンデレ)
  • 美少女最高神(ロリ)
  • 美少女ケモナー(クーデレ)
  • 美少女疫病神(天然)
の間を行ったり来たり。当然主人公は四人の女の子に囲まれた生活を送ることになるわけで、もうなんかさっさと死ねば話終わるんじゃないかなと思わざるを得ません。でもドタバタギャグとして結構面白いので目が離せないぜ。

かんなぎ


主人公が作った神様の木像に宿って女の子の神様・ナギが顕現してしまうというかんなぎです。美少女な神様が主人公と同居しててんやわんやの大騒ぎ、というかみさまんがのテンプレ・代表格とも言える作品です。 
ナギをはじめ、登場人物たちのアホっぽさが読んでいて楽しいですね。アニメ化もされて人気絶頂と思ったら、作者急病で長いこと連載を中断しており心配されましたが、最近連載を再開しました。作中で長いこと不在となっていたナギの復活と作者の復活が重なります。お身体にはお気をつけて完結までもっていっていただきたいものです。

つぐもも


主人公のお母さんの形見の着物の帯に宿った付喪神(つぐもも)が美少女になって顕現して、主人公の周辺で起きる怪異な出来事と対決するというバトル系エロコメかみさまんがです。 かんなぎの類似作品かなーと思って読んでいたら、カーブで急ハンドルを切って遥か彼方の別ベクトルへと飛んでいきました。 
巻数を重ねるごとにどんどん絵がうまく、そしてどんどんエロ要素が増しており、一体どこまで寸止めで乗り切ることができるのか、いろいろな意味で目が話せません。エロ寄りかみさまんがの最高峰(自分認定)の作品です。あるみ可愛い!

いかがだったでしょうか。
なんだろう、この異様なひらがなタイトル率。

まだまだ取りこぼしている作品はたくさんありそうなので、もしご存知のかみさまんががありましたら教えてくださいませ。

漫画記復活の兆し

iPad Air を購入したこともあり、最近またマンガ漬けの生活を送りつつあります。

ただ読み流しているだけだと忘れるので、漫画記を復活させることにします。

週一更新を目指します。



今読んでいる漫画