1~4巻で良くある妖魔バスターものかと思いきや、
5~7巻で「ベルセルク」の女性版だったと姿勢を正し、
8~11巻に至るや否や思わず目を見開いて手に汗握る展開に続きはまだか! と叫びたくなった作品です。
主人公たちがとても敵わない強大な相手と対峙し、先ほどまで隣で闘っていたはずの仲間が為す術もなく一蹴されたとき思わず読み手である自分自身の歯の根が鳴り、身体が震えました。
過去の回想によって、主人公の持つ哀しみと絶望感を読者と共有させる手法に至ったとき、これは「ベルセルク」だ。と思い至ったものの、別種の“怖さ”を感じ、今も作品を追っています。
序盤はややあっさりし過ぎている感もあり物足りませんが、過去の回想を経てから俄然面白くなり始めます。そんなところも「ベルセルク」と似ていますね(ベルセルクは過去編が一番面白いという意見もありましょうが……)。
特に、序盤ただ単ののっぺらぼうでおざなりだった妖魔のデザインが急に迫力を増し、ギーガーのデザインにも似たグロテスクな美しさを感じられるようになったあたりからは、必見と云えるでしょう。
この作者は間違いなく変態です。(「エンジェル伝説」の時から片鱗はあったけど…)
掲載紙である月刊少年ジャンプが休刊になり、週刊少年ジャンプへの移籍が発表され、先日唐突にジャンプの中に登場したものの、再登場はいつになるのでしょうか(月イチ連載なのかな?)。
いずれにせよ佳境に入り始め、加速する物語を留めては欲しくないものです。
2007年6月14日木曜日
修羅の刻
「修羅の門」といえば、格闘漫画史に燦然と輝く名作の一つ。
中学・高校の頃に陸奥圓明流の必殺技を真似しようとして怪我しかけた、また実際怪我した経験を持つ方も多いのではないでしょうか(いねーよというツッコミお待ちしております)。
本編「修羅の門」は、主人公が現代の強敵たちと闘うというストーリーの性質上、どうしても物語が冗長になりがちで、第四部がかなりグダグダ気味になっていたのが残念でした。
(実はまだ終わってないはずなんですけどね)
しかし、作者川原正敏のストーリーテラーとしての真の実力は、外伝である「修羅の刻」に見ることができます。むしろ本編より面白いと思ってらっしゃる向きも多いと思います。
物語は、宮本武蔵や柳生十兵衛、土方歳三といった日本史上のスーパー剣豪たちと、当代の陸奥圓明流継承者が色々あった末に激闘を繰り広げる(もちろん歴史上には残っていない)というもので、バトルシーンのスピード感もさることながら、そこに至るまでの「色々」の部分が実に面白い、所謂「歴史if」ものです。
特に単行本2巻、3巻で語られる『風雲幕末編』の展開はトンデモ歴史ながら実に秀逸。坂本龍馬は実は物凄く強い、ということをこの漫画で知った人々は少なくないはず。
そしてこれまでの陸奥圓明流継承者の鬼神のような強さから一転して「弱虫の陸奥」を描いた4巻『アメリカ西部編』は名作中の名作。読み終わった時には不思議なことに目から汗が流れ出てくるのを止められません。
というか、先日久々に4巻を読み直して、何度も読んでいるはずなのにまた泣いてしまったという経験からこのエントリを書いているのでした。
絵にクセがあることや、コマをやたら横長に割ること、擬音をなぜか噴出しで描くなどクセのある漫画ではあります。
が、本編はともかく「修羅の刻」だけでも読んでみて絶対に損はありません。もしあなたが歴史好きなら尚更です。
PS:Amazonで調べてみてびっくりしました。もう10巻以上出てるんですね……。
中学・高校の頃に陸奥圓明流の必殺技を真似しようとして怪我しかけた、また実際怪我した経験を持つ方も多いのではないでしょうか(いねーよというツッコミお待ちしております)。
本編「修羅の門」は、主人公が現代の強敵たちと闘うというストーリーの性質上、どうしても物語が冗長になりがちで、第四部がかなりグダグダ気味になっていたのが残念でした。
(実はまだ終わってないはずなんですけどね)
しかし、作者川原正敏のストーリーテラーとしての真の実力は、外伝である「修羅の刻」に見ることができます。むしろ本編より面白いと思ってらっしゃる向きも多いと思います。
物語は、宮本武蔵や柳生十兵衛、土方歳三といった日本史上のスーパー剣豪たちと、当代の陸奥圓明流継承者が色々あった末に激闘を繰り広げる(もちろん歴史上には残っていない)というもので、バトルシーンのスピード感もさることながら、そこに至るまでの「色々」の部分が実に面白い、所謂「歴史if」ものです。
特に単行本2巻、3巻で語られる『風雲幕末編』の展開はトンデモ歴史ながら実に秀逸。坂本龍馬は実は物凄く強い、ということをこの漫画で知った人々は少なくないはず。
そしてこれまでの陸奥圓明流継承者の鬼神のような強さから一転して「弱虫の陸奥」を描いた4巻『アメリカ西部編』は名作中の名作。読み終わった時には不思議なことに目から汗が流れ出てくるのを止められません。
というか、先日久々に4巻を読み直して、何度も読んでいるはずなのにまた泣いてしまったという経験からこのエントリを書いているのでした。
絵にクセがあることや、コマをやたら横長に割ること、擬音をなぜか噴出しで描くなどクセのある漫画ではあります。
が、本編はともかく「修羅の刻」だけでも読んでみて絶対に損はありません。もしあなたが歴史好きなら尚更です。
PS:Amazonで調べてみてびっくりしました。もう10巻以上出てるんですね……。
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2007年6月5日火曜日
アグネス仮面
スピリッツで連載されていたプロレス系バカ漫画。
アメリカでの5年間の武者修行を終えて帰国した主人公だったが、所属団体の大和プロレスは帝日プロレスに潰されていて、看板を取り戻すために帝日に乗り込むものの、社長のマーベラス虎嶋(明らかに猪木がモデル)に返り討ちにあった上に、謎の仮面レスラー「アグネス仮面」として働くことになるハメになるというお話。全八巻。
昭和50年代、プロレスは今ほどビジネスライクではなく、ものすごく大雑把でいい加減だったけど、みんな真剣だし熱かった。
という冒頭のモノローグ通り、どこかズレた登場人物たちとユルいやり取りをしつつ、プロレスに関してだけは主人公も含めて全員すごい情熱を持っている。さらに絵も非常に緻密な劇画調であるにも関わらず、やっていることはギャグ。
そのバカっぽさと熱さのギャップがぐいぐいと読み手を引き付ける、奇妙な魅力を持った作品です。
読み終わった後に、アグネス仮面たちの今後が読めないことが残念で、思いのほかこの作品の登場人物たちを愛してしまっている自分に気づかされたりもしました。
作者ヒラヤツミノルは、現在スピリッツでその独特の文法に磨きをかけた「毎日父さん」という作品を連載中。こちらも非常に面白いのだけれど、その前に「アグネス仮面」をぜひ。さらっと読了できます。
アメリカでの5年間の武者修行を終えて帰国した主人公だったが、所属団体の大和プロレスは帝日プロレスに潰されていて、看板を取り戻すために帝日に乗り込むものの、社長のマーベラス虎嶋(明らかに猪木がモデル)に返り討ちにあった上に、謎の仮面レスラー「アグネス仮面」として働くことになるハメになるというお話。全八巻。
昭和50年代、プロレスは今ほどビジネスライクではなく、ものすごく大雑把でいい加減だったけど、みんな真剣だし熱かった。
という冒頭のモノローグ通り、どこかズレた登場人物たちとユルいやり取りをしつつ、プロレスに関してだけは主人公も含めて全員すごい情熱を持っている。さらに絵も非常に緻密な劇画調であるにも関わらず、やっていることはギャグ。
そのバカっぽさと熱さのギャップがぐいぐいと読み手を引き付ける、奇妙な魅力を持った作品です。
読み終わった後に、アグネス仮面たちの今後が読めないことが残念で、思いのほかこの作品の登場人物たちを愛してしまっている自分に気づかされたりもしました。
作者ヒラヤツミノルは、現在スピリッツでその独特の文法に磨きをかけた「毎日父さん」という作品を連載中。こちらも非常に面白いのだけれど、その前に「アグネス仮面」をぜひ。さらっと読了できます。
2007年4月29日日曜日
アニメがお仕事!
作家の自伝的な内容とか、アニメ業界漫画、という認識でこれまで読んできましたけれど(あと主人公のイチ乃がかわいいという単純な理由)。
7巻を読むに至って、やっと気づきました。
これは「好きなことを仕事にした人」のための漫画なのですね。
仕事の「対象」そのものを好きで就職した人は、まず自分の思い描いていた理想と現実とのギャップに苦しむことになります。
理想と現実のギャップがあるのは当たり前じゃん、という意見もあります。
でも実際に苦しむことになるのは、人間そのものに対して。
それは他人と自分自身にほかなりません。
他人というのは、自分以外の人間のこと。
どんな仕事でも、人間が回しているという事実において変わりはありません。そして他人は自分ではないので、必ず齟齬が生まれます。必ずです。
アニメが好きな人とだけ仕事がしたい! 七巻で作中の登場人物たちは叫びます。アニメを他の言葉、たとえば株式とか、建築とか、ゲームとか、本や雑誌とかと置き換えても同じことです。
いろんな人がいます。すごいと尊敬できる人、仕事がうまい人や、なんでこの人こんなにヤル気ないの? と疑問視するだけならまだ良い。人の足を平気で引っ張る人もいます。
どうすれば良いのか? どうしようもありません。自分以外の人間は全員自分じゃないのです。だから自分との戦いを続けるしかないわけで。
かというと、今度は自分という人間の理想とのギャップに苦しむことになります。いくら対象を好きであろうと、その業界に入ったばかりの人がすぐに活躍できるわけがない。トーシロであるという自分の姿をすぐに認められる人はそうそういません。
何度も壁にぶち当たって、挫折して、それでようやくモノになっていく。そんな過程をこの漫画は丁寧に描いている。
作中で主人公のイチ乃があまりに仕事に追われているので読者までつられてしまったり、ちょっとした変化があったと思えば物凄くドロドロした人間関係の話だったりする(これも職場の人間関係でイヤ気の差す事のひとつです)ので見落としがちになってしまいますけれど、非常に筋の通った作品です。
「働きマン」は仕事する人間を哲学的に観念的に追った作品。
「サプリ」は仕事する女性を俯瞰で眺めた自嘲的な作品。
そして「アニメがお仕事!」は、好きな事を仕事にした人、してしまった人が、もう一度自分を見直すために是非とも読んでほしい作品です。
最後に、巻末にあったフィクション注記が面白かったので抜粋。
> この物語はフィクションです。
> アニメーションのHow-To漫画では決してありません。
そりゃそうだよ。
人の数だけ見てきた職場の姿があって、それは決して他人にとって参考になったりはしませんから。絶対に。
7巻を読むに至って、やっと気づきました。
これは「好きなことを仕事にした人」のための漫画なのですね。
仕事の「対象」そのものを好きで就職した人は、まず自分の思い描いていた理想と現実とのギャップに苦しむことになります。
理想と現実のギャップがあるのは当たり前じゃん、という意見もあります。
でも実際に苦しむことになるのは、人間そのものに対して。
それは他人と自分自身にほかなりません。
他人というのは、自分以外の人間のこと。
どんな仕事でも、人間が回しているという事実において変わりはありません。そして他人は自分ではないので、必ず齟齬が生まれます。必ずです。
アニメが好きな人とだけ仕事がしたい! 七巻で作中の登場人物たちは叫びます。アニメを他の言葉、たとえば株式とか、建築とか、ゲームとか、本や雑誌とかと置き換えても同じことです。
いろんな人がいます。すごいと尊敬できる人、仕事がうまい人や、なんでこの人こんなにヤル気ないの? と疑問視するだけならまだ良い。人の足を平気で引っ張る人もいます。
どうすれば良いのか? どうしようもありません。自分以外の人間は全員自分じゃないのです。だから自分との戦いを続けるしかないわけで。
かというと、今度は自分という人間の理想とのギャップに苦しむことになります。いくら対象を好きであろうと、その業界に入ったばかりの人がすぐに活躍できるわけがない。トーシロであるという自分の姿をすぐに認められる人はそうそういません。
何度も壁にぶち当たって、挫折して、それでようやくモノになっていく。そんな過程をこの漫画は丁寧に描いている。
作中で主人公のイチ乃があまりに仕事に追われているので読者までつられてしまったり、ちょっとした変化があったと思えば物凄くドロドロした人間関係の話だったりする(これも職場の人間関係でイヤ気の差す事のひとつです)ので見落としがちになってしまいますけれど、非常に筋の通った作品です。
「働きマン」は仕事する人間を哲学的に観念的に追った作品。
「サプリ」は仕事する女性を俯瞰で眺めた自嘲的な作品。
そして「アニメがお仕事!」は、好きな事を仕事にした人、してしまった人が、もう一度自分を見直すために是非とも読んでほしい作品です。
最後に、巻末にあったフィクション注記が面白かったので抜粋。
> この物語はフィクションです。
> アニメーションのHow-To漫画では決してありません。
そりゃそうだよ。
人の数だけ見てきた職場の姿があって、それは決して他人にとって参考になったりはしませんから。絶対に。
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2007年4月18日水曜日
まにあってます!
自分はどれだけ森永あいが好きなんでしょうか。
あとは「僕と彼女の×××」を紹介すればコンプリートしちゃいますね。
さてこの作品は、少女漫画にありがちなシチュエーション、
住み込み先の少年たちにしてみれば、慣れない女の子のいる生活でドキドキ☆になるべきなのでしょう。また、主人公の女の子にしても、意地を張りつつも男の子たちを意識してしまって……という展開が王道と云えましょう。
しかし森永あい作品の主人公、あくまでも自分の欲望に忠実です。
というのも女の子がアホの子で、三兄弟を虎視眈々と(まさにヨダレを垂らしながら)狙うので、三兄弟にしてみれば本気で超迷惑なのでした。隙あらば食われるかも知れないというドタバタラブコメで、面白くなりそうだったのに話の軸が生まれないまま終了。残念。
逆ハーレムものが書きたかったという作者の意図は分かります。でも、こんな女がメインヒロインだったら誰でも退く。フルハウスキスのパロディみたいで面白いっちゃ面白いです。
漫画喫茶や書店にある可能性は低いですが、もし発見したらご一読してみてはいかがでしょうか。
あとは「僕と彼女の×××」を紹介すればコンプリートしちゃいますね。
さてこの作品は、少女漫画にありがちなシチュエーション、
- 借金のカタに住み込みで家政婦をすることになった一人娘
- 住み込み先には美少年の三兄弟
- 三兄弟には母親ナシ
- 逆ハーレム
住み込み先の少年たちにしてみれば、慣れない女の子のいる生活でドキドキ☆になるべきなのでしょう。また、主人公の女の子にしても、意地を張りつつも男の子たちを意識してしまって……という展開が王道と云えましょう。
しかし森永あい作品の主人公、あくまでも自分の欲望に忠実です。
というのも女の子がアホの子で、三兄弟を虎視眈々と(まさにヨダレを垂らしながら)狙うので、三兄弟にしてみれば本気で超迷惑なのでした。隙あらば食われるかも知れないというドタバタラブコメで、面白くなりそうだったのに話の軸が生まれないまま終了。残念。
逆ハーレムものが書きたかったという作者の意図は分かります。でも、こんな女がメインヒロインだったら誰でも退く。フルハウスキスのパロディみたいで面白いっちゃ面白いです。
漫画喫茶や書店にある可能性は低いですが、もし発見したらご一読してみてはいかがでしょうか。
| まにあってます! 1 (1) 森永 あい 角川書店 2004-03-17 売り上げランキング : 156918 おすすめ平均 |
2007年4月17日火曜日
オーレ!
突然ですがサッカーが好きです。
サッカーを好きになったきっかけと、その作品については別に語りますが、傾向としては個人の能力などに拠るまんがよりも、戦術やチームそのものに焦点を当てたまんがの方が好みです。
しかし「地方におけるサッカーチーム運営」という部分に焦点をおいた珍しい作品があります。それが、最近すっかりSF漫画家からサッカー漫画家へ転身してしまった能田達規の「オーレ!」です。
前作「ORANGE」は田舎チームを引っ張る選手とその熱いサポーターたちの物語でしたが、「オーレ!」はなんと、市役所の小役人が主人公。プロットは映画化で有名になった「県庁の星」と同じで、アクアラインの開通で逆に廃れてしまった下総という街(木更津がモデルらしい)を盛り上げるために、「下総オーレ」なるヘタレチームを、日本のレアルマドリードにしよう! と奔走するという物語。
能田先生が描くだけあって絵も巧いし話も面白い。何よりサポーターの「熱さ」の描き方が半端ではありません。
「ORANGE」と似て非なる感じなのは、チャンピオンでは描けなかったのか、チームの運営費用(広告料とか予算)とか割と生々しい話が表に出てくることなのでしょうか。
さすがバンチ。社会派!(?) Jリーグの抱える現実問題も浮き彫りにしていて、いろいろと勉強になります。
しかし、どれくらい続くのか分かりません。そもそも弱小チームを題材にしたサッカー漫画は、一部リーグに上がるとか強くなっていくことで物語の先行きが無くなるという矛盾を内包しているからです。けれども、始まったばかりのこの物語は、間違いなくおすすめです。
サッカーファンにも、サッカーファンでなくても、純粋に情熱を持った漫画を楽しみたいと思っている人に手に取ってほしい作品です。
サッカーを好きになったきっかけと、その作品については別に語りますが、傾向としては個人の能力などに拠るまんがよりも、戦術やチームそのものに焦点を当てたまんがの方が好みです。
しかし「地方におけるサッカーチーム運営」という部分に焦点をおいた珍しい作品があります。それが、最近すっかりSF漫画家からサッカー漫画家へ転身してしまった能田達規の「オーレ!」です。
前作「ORANGE」は田舎チームを引っ張る選手とその熱いサポーターたちの物語でしたが、「オーレ!」はなんと、市役所の小役人が主人公。プロットは映画化で有名になった「県庁の星」と同じで、アクアラインの開通で逆に廃れてしまった下総という街(木更津がモデルらしい)を盛り上げるために、「下総オーレ」なるヘタレチームを、日本のレアルマドリードにしよう! と奔走するという物語。
能田先生が描くだけあって絵も巧いし話も面白い。何よりサポーターの「熱さ」の描き方が半端ではありません。
「ORANGE」と似て非なる感じなのは、チャンピオンでは描けなかったのか、チームの運営費用(広告料とか予算)とか割と生々しい話が表に出てくることなのでしょうか。
さすがバンチ。社会派!(?) Jリーグの抱える現実問題も浮き彫りにしていて、いろいろと勉強になります。
しかし、どれくらい続くのか分かりません。そもそも弱小チームを題材にしたサッカー漫画は、一部リーグに上がるとか強くなっていくことで物語の先行きが無くなるという矛盾を内包しているからです。けれども、始まったばかりのこの物語は、間違いなくおすすめです。
サッカーファンにも、サッカーファンでなくても、純粋に情熱を持った漫画を楽しみたいと思っている人に手に取ってほしい作品です。
| オーレ! 1 (1) 能田 達規 新潮社 2007-01-09 売り上げランキング : 7853 おすすめ平均 |
狂四郎2030
本当は「バンパイア」について書こうと思っていたのだけれど、その前にこの作品を語らないことには始まらないので先に書くことにしました。
徳弘正也といえば、我々の世代にとっては「シェイプアップ乱」であり「ジャングルの王者ターちゃん」の作者として知られています。
すぐに思いつくであろう絵は、「皮」をびろーんと広げる、あの独特の下ネタですよね。笑う笑わない以前に読んでいるこっちが恥かしくなるような下品なギャグ満載の漫画でした。
しかし、登場人物は純粋で(スケベで)、素直で(スケベで)、一本筋の通った魅力的なスケベ…もとい、人間として描かれていたことは間違いありません。
そして、少年誌から青年誌へと活動の場を移した徳弘正也は唐突に異彩を放ち始めます。それがこの「狂四郎2030」です。
舞台は戦争によって荒廃した未来の日本。独裁支配下の日本では男女は隔離され、唯一の楽しみはインターネットを通じての「バーチャルSEX」のみ。
そんな仮想空間で出会い、恋に落ちた狂四郎とユリカ。互いが実在すると知ったことから想いは燃え上がります。男女が隔離された近未来では重罪と知りつつ、狂四郎はユリカに会うべく旅立ち、血みどろの戦いを繰り広げ、ユリカは支配階級・ゲノム党の男たちから幾度も屈辱を味わいながら、孤独な戦いを続けます。
互いに本当の顔も知らない。もしかしたら穢れた自分を拒否されてしまうかも知れない。会うのが怖い! でも会いたい!
大雑把にストーリーを言うなれば、マッドマックス版ロミオとジュリエットなのです。
荒唐無稽なプロットですが、欲望にまみれた人間の描写が実に生々しく凄惨を極めています。
食いたい。生きたい。死にたくない。殺したい。犯したい。支配したい。蹂躙したい。
自らの欲に突き動かされた人間たちに運命を翻弄され、狂四郎とユリカは幾度もすれ違い、読む者はいつしか歯を食いしばって涙しながら、そんな二人を見守ることになります。
徳弘正也は人間の「本能」を描く作家なのだと思います。
少年誌では、それは明るくスケベな少年の本能でしかなかったけれど、青年誌の上では、大人となった人間の本能を余すところなく描いている。
もちろん、下品なギャグは相も変わらずで、凄惨な物語に一抹の涼風(ずいぶん生臭い風だけど)を吹き込んでいるし、何よりも狂四郎とユリカの互いを求める男と女の本能が、物語を正方向に牽引してくれています。
絶望の果てを極めたラストには賛否両論あるようです。
しかし未読の方には是非一読をお勧めしたい。
絵にアレルギーを覚える向きもあるだろうが、読まずには死ねない。珠玉の名作です。
徳弘正也といえば、我々の世代にとっては「シェイプアップ乱」であり「ジャングルの王者ターちゃん」の作者として知られています。
すぐに思いつくであろう絵は、「皮」をびろーんと広げる、あの独特の下ネタですよね。笑う笑わない以前に読んでいるこっちが恥かしくなるような下品なギャグ満載の漫画でした。
しかし、登場人物は純粋で(スケベで)、素直で(スケベで)、一本筋の通った魅力的なスケベ…もとい、人間として描かれていたことは間違いありません。
そして、少年誌から青年誌へと活動の場を移した徳弘正也は唐突に異彩を放ち始めます。それがこの「狂四郎2030」です。
舞台は戦争によって荒廃した未来の日本。独裁支配下の日本では男女は隔離され、唯一の楽しみはインターネットを通じての「バーチャルSEX」のみ。
そんな仮想空間で出会い、恋に落ちた狂四郎とユリカ。互いが実在すると知ったことから想いは燃え上がります。男女が隔離された近未来では重罪と知りつつ、狂四郎はユリカに会うべく旅立ち、血みどろの戦いを繰り広げ、ユリカは支配階級・ゲノム党の男たちから幾度も屈辱を味わいながら、孤独な戦いを続けます。
互いに本当の顔も知らない。もしかしたら穢れた自分を拒否されてしまうかも知れない。会うのが怖い! でも会いたい!
大雑把にストーリーを言うなれば、マッドマックス版ロミオとジュリエットなのです。
荒唐無稽なプロットですが、欲望にまみれた人間の描写が実に生々しく凄惨を極めています。
食いたい。生きたい。死にたくない。殺したい。犯したい。支配したい。蹂躙したい。
自らの欲に突き動かされた人間たちに運命を翻弄され、狂四郎とユリカは幾度もすれ違い、読む者はいつしか歯を食いしばって涙しながら、そんな二人を見守ることになります。
徳弘正也は人間の「本能」を描く作家なのだと思います。
少年誌では、それは明るくスケベな少年の本能でしかなかったけれど、青年誌の上では、大人となった人間の本能を余すところなく描いている。
もちろん、下品なギャグは相も変わらずで、凄惨な物語に一抹の涼風(ずいぶん生臭い風だけど)を吹き込んでいるし、何よりも狂四郎とユリカの互いを求める男と女の本能が、物語を正方向に牽引してくれています。
絶望の果てを極めたラストには賛否両論あるようです。
しかし未読の方には是非一読をお勧めしたい。
絵にアレルギーを覚える向きもあるだろうが、読まずには死ねない。珠玉の名作です。
| 狂四郎2030 1 (1) 徳弘 正也 集英社 1998-03 売り上げランキング : 116258 おすすめ平均 |
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