2007年6月5日火曜日

アグネス仮面

スピリッツで連載されていたプロレス系バカ漫画。

アメリカでの5年間の武者修行を終えて帰国した主人公だったが、所属団体の大和プロレスは帝日プロレスに潰されていて、看板を取り戻すために帝日に乗り込むものの、社長のマーベラス虎嶋(明らかに猪木がモデル)に返り討ちにあった上に、謎の仮面レスラー「アグネス仮面」として働くことになるハメになるというお話。全八巻。

昭和50年代、プロレスは今ほどビジネスライクではなく、ものすごく大雑把でいい加減だったけど、みんな真剣だし熱かった。

という冒頭のモノローグ通り、どこかズレた登場人物たちとユルいやり取りをしつつ、プロレスに関してだけは主人公も含めて全員すごい情熱を持っている。さらに絵も非常に緻密な劇画調であるにも関わらず、やっていることはギャグ。

そのバカっぽさと熱さのギャップがぐいぐいと読み手を引き付ける、奇妙な魅力を持った作品です。

読み終わった後に、アグネス仮面たちの今後が読めないことが残念で、思いのほかこの作品の登場人物たちを愛してしまっている自分に気づかされたりもしました。

作者ヒラヤツミノルは、現在スピリッツでその独特の文法に磨きをかけた「毎日父さん」という作品を連載中。こちらも非常に面白いのだけれど、その前に「アグネス仮面」をぜひ。さらっと読了できます。