2014年1月7日火曜日

クレイジー週報

たとえばタランティーノの映画に代表される、軽妙な犯罪映画を面白くしている要素って何だろうと考えてみると、「クレイジーの存在」に行き着くわけですね。

わけですねっていきなり何だよと思われたかもしれませんが、今回はこれです。

デストロ246 / 高橋慶太郎



これがもう本当に面白いというか、読んでいて快感すら覚える始末でして。
前作「ヨルムンガンド」も素晴らしい作品でしたが、本作と読み比べると、ブレーキ踏みながら描いてたんだなと思わざるを得ません。
それくらい読んでいて脳内物質が出る。この快楽の源はなんだろうと考えてみると、あれか、となったわけです。

「レザボア・ドッグス」で踊りながら警官の耳を切り落とすマイケル・マドセンとか。
「パルプ・フィクション」で神の愛をエンエンと説きながら銃をつきつけるサミュエル・L・ジャクソンとか。
要するにああいうのです。クレイジーな人たち。

厄介者、はみだし者と呼ばれる人たち。
四角い穴に丸い杭を打ち込むように、
物事をまるで違う目で見る人たち。
彼らは規則を嫌う。
彼らは現状を肯定しない。

おっとこれはAppleの往年の名作CM「Think Different」の冒頭だった。
つまりそういうことです。

本作「デストロ246」は、メチャクチャ強くて頭のネジが2、3本外れた女子高生たちが殺し合いを繰り広げるという明快かつ爽快なテーマが具現化した存在です。それ以外の事は、割とどうでもいい。詳細な背景とか設定とか、犬にでも食わせてろ。

主人公格の人物たちは全員クレイジーな人たち。
よく言って凶暴か狂犬。
言葉は通じますが常人の理屈が通用しません。
でもメチャクチャ強いので、銃と拳で世の中をまかり通ってしまう。
これが何とも痛快なんだなあ。

この世で一番ワガママになるためには、世界最強になればいいって言ったのは誰でしたっけ。板垣恵介?
現実に側にいられたらたまったもんじゃありませんが、漫画だからいいのです。

作品から「これが描きたかったんだよ! 文句あるか!」という執念めいた匂いさえ漂います。大変結構なことです。それは「巨大ロボットと怪獣が殴りあう」というテーマを描くためだけに背景と舞台を全部作り上げた「パシフィック・リム」にも似て。

未だ単行本3巻。三つ巴の女子高生たちの戦いがどのような形で決着するのかは作者のみぞ知るですが、できれば永遠につづいてほしい。終わるな。

ではまた次回。



前回のエントリーを投げた後、大晦日に友人の北野さんがうちに来ました。
帰りに家の近所まで送っていったのですが、その時の会話。

「ああそうだ、別に今じゃなくてもいいんだけど」
「なに?」
「ウィッチクラフトワークス」
「?」
「魔女っ子漫画」
「ああ!!」
「アニメも始まるぞ」
「なるほどねーありがとう。って本当に今じゃなくてもいいなそれ!」

というわけで、ウィッチクラフトワークスも魔女っ子漫画としてオススメです。