2013年12月18日水曜日

かみさまんが大王 その2

前回ご紹介した「かみさまんが」で、タイトルを思い出せなかったり寡聞にしてしらなかった作品を列挙してみようと思います。アドバイスやご紹介を頂いた皆様、ありがとうございます。

一応、ご説明しておくと「かみさまんが」というのは、主に現代日本で何らかの理由で神様がやってきたり顕現したり出くわしたり取り憑かれたりして、あれやこれやと日常的な騒動を繰り広げる、もはやひとつのジャンル化した傾向にあるマンガのことです。

ちなみに「かみさまんが」は当方の造語ですが、調べてみたところによると、同じタイトルでそのもののマンガもあるとかないとか……(WEBによる個人作品のようです)

かみあり


このラインナップで「かみあり」がないなんて! と前回ご指摘をいただいた作品です。すみません、タイトルが思い出せなかったんです。
旧暦の10月は全国の神様が出雲の国に出張に出かけてしまうので神無月と呼ばれるものの、島根県出雲国は逆に神様が集まってくるので、10月を「神在月」と呼びます。本作はそんな島根県を舞台に、集まってきた神様たちに妙に関わりあいになりやすい女子中学生二名を主人公にしたドタバタコメディです。ラブコメとかは、特にない。
面白いのは、ちゃんと神様の名前や設定を踏まえた上でキャラクター化していること。そして、のべつまくなしに何でも神様に祭り上げて、盆とクリスマスと正月を一緒くたに扱う、悪い言い方をすればいい加減な日本人を、無節操とではなく懐の深さととらえていること。 
日本以外の神様も登場しており、ソロモンの72神は悪魔だし、キリスト教のガブリエル(パンチラは絶対に許さない!)なんて天使ですがカンケーありません。だって日本人はなんだってキャラクター化して祭りあげちゃうもんね。 
現在、単行本は4巻までリリースされています。でも神在月って10月だけで、旧暦入れてもいいとこ二ヶ月のはずなんですが、作品自体は一話完結形式で延々続いています。アニメ化されないかなー

ノラガミ


電話一本でどこでも参上! 社もなければ信者もいないマイナーで無名なデリバリーゴッド「夜ト神」と、彼に関係したばかりに魂が抜けやすい体質になってしまった女子中学生が繰り広げる伝奇ファンタジーです。毘沙門かわいい。
主なお話は、神様が道具として使役する人の魂「神器」と、神様の関係に主眼が置かれています。この関係性が、騎士とファティマというか、死神の職人と武器というか、王と麒麟というか、そういうアレですよわかるでしょ! ……をホーフツとさせ、たまらんものがあるのです。毘沙門かわいい。 
自分は本来、主人公が周囲から理由もなく蔑まれバカにされるような作品は好きになれません。序盤、夜トが自分の神器からすらバカにされているのはどうなんだろうと思っていたものの、読んでいくうちに疑問はすぐに氷解しました。 
うん、この神様、本ッ気でウザいね☆ よくまあこんなウザいキャラを作り出せるものだと作者に賛辞を送りたいです……毘沙門かわいい。
未読の方のために多くは語りませんが、夜トのイタズラで強引に高校デビューをさせられてしまった女の子の「時化(シケ)た学校だぜ…」を読んだ時には腹抱えて笑いました。ホントに。 
今後は「夜ト」の一切不明な出自や来歴について解き明かされていく事が予想され、続刊が待ち遠しい限り。 
来年1月からアニメ化されるらしいので、こちらも愉しみ。毘沙門かわいい。 神谷浩史の「ぶゎーーっきゃろぉーーい!!」(いつものアレ)が早く聞きたいです。自分(神)の存在を全否定する説教を人にノベる夜トからガゼン、目が離せないぜ!

貧乏神が!


家が金持ちで巨乳で学業優秀でスポーツ万能で、しかも人並み外れた幸運の持ち主! だけど性格最悪な女子高生のもとへ、運気のバランスを保つ目的で超絶ウザい性格の貧乳神もとい貧乏神がやってきて、ツブし合いを繰り広げるというお話。
不幸な主人公のもとへ愛の女神が! という、かみさまんがにアリガチな展開の逆をついた設定のみの出オチと思いきや、女同士の友情あり、恋あり、意表をついた新キャラとのバトルありで飽きさせません。とにかくハイテンションでギャグもパロディも冴えまくり。 
性格最悪な主人公と、性格最凶な貧乏神の紅葉が、だんだんトムとジェリー的「仲良く喧嘩しな」な関係になりつつあったりもするのが、読んでいて何とも面映い感じ。最終的には、ああこれ王道の少年漫画じゃないか! といった形になっていきました。
不思議だったのは、まんがなら普段ぱぱぱーっとあっという間に読めてしまう自分が、16巻まで読み切るのにけっこうな時間を要したこと。画面の密度が濃いせいですかね。情報量も登場人物もテンコ盛り。じっくり楽しめます。それからこれ、2012年にアニメ化されていたんですね。見なきゃ……!

百花のしるし


新興住宅地に宿った土地神の「百花」が、地元の高校生二人を巻き込みながら街を守るために奮闘したりしなかったりするお話。上げてきた三作品に比べると、何も起こっていないも同然のほのぼのコメディです。
しかしながら、新しくできようとしている街には新しい神様が宿るとか、元々その土地にいた神様とどう折り合いをつけていくのかといったテーマ自体は、かみさまんがを色々読んできた中では新鮮な視点でした。 
1巻完結なのでさっと読めますが、少し惜しいような気もします。

お嫁さんは神様です


ごくふつうの男女が出会い、ごくふつうの結婚をしました。ひとつだけ違っていたのは、お嫁さんは神様だったのです……と、ありがちな紹介文をついつい書きたくなってしまいますが、今週紹介するもののなかでは断然イチオシ。
作者は、隠れた名作「VIVO!」の瀬川藤子。マッグガーデンWEBで連載していて、すぐ読めるので今すぐ嫁、じゃなかった読め。
自分はこの人の漫画が大好きでしてね。手放しで褒めちゃう。もーねー。奥さんのサクヤが可愛いんですよ。家事全般完璧だけどちょっと天然で抜けてる奥さんって、奥さんもの漫画のテンプレっぽくはありますけれども。
神様だってことはほっといて日常展開になるのかと思いきや、しっかり日本神話の人間(神様?)関係もなぞっていたり、かと思ったらやっぱり日常だったりという脱力加減がとてもいい感じです。
この漫画を象徴するような一コマ。
しかしこのテの、奥さまファンタジーまんがも一ジャンル化した感がありますね。決めた。次回は「おくさまんが」でくくって作品を集めてみたいと思います。なんかこうやって強引にジャンルを創出して紹介していくのがこのブログのスタイルになるのだろうか……

八百万


江戸時代が舞台のかみさまんがです。修行? のため町内に引っ越してきた若い狐の神様とその神使たちが、町内で巻き起こる不審な事件に、頼りにならない同心を引っ張りながら立ち向かうというミステリ仕立ての作品。 
時代劇のミステリって個人的に好きなんですよね。宮部みゆきのアレとか、藤沢周平のソレとか…… 
残念ながら一巻で完結してしまったようですが、注目すべきは作者のみもり。「ひぐらしのなく頃に」のコミカライズの? と言った奴は廊下で立ってなさい。「アオハルッ!」のみもりですよ! 個人的に大好きなので、もう手放しで褒めちゃう(こればっかり)。

神様家族


ラノベのコミカライズなので正確には「かみさまんが」ではありませんが、漫画版は漫画版でよく出来ていたのでご紹介。
神様の息子である主人公・佐間太郎(このいい加減なネーミング…)が人間の感性を身につけるべく人間界の学校に通い始めて恋もするが、彼はなにぶん神様の係累なので、望んだことがすぐ叶ってしまって……というお話。でも結局あんまり人間の登場人物って出てこないんですよね……。 
何がいいってラブコメ部分ですよ。あとキャラが愉快なので読んで損はないです。漫画版を読んで気になったなら原作をどうぞ。

かみちゃまかりん


作品そのものの存在は知り得たのですが……未読のためレビューできず!コゲどんぼ先輩サーセン! そのうち必ず紹介させていただきます!!


といったわけで第二回、いかがだったでしょうか。

「地獄堂霊界通信」はどうなんだとか、「夜桜四重奏」とか「ラブやん」はかみさまんがなんじゃないか? とか、「魔探偵ロキ」は入れないのかとか迷いはあったものの、今回はこのへんで。また機会があったらかみさまんがを紹介させていただければと思います。

それではまた次回。