2007年4月17日火曜日

オーレ!

突然ですがサッカーが好きです。
サッカーを好きになったきっかけと、その作品については別に語りますが、傾向としては個人の能力などに拠るまんがよりも、戦術やチームそのものに焦点を当てたまんがの方が好みです。

しかし「地方におけるサッカーチーム運営」という部分に焦点をおいた珍しい作品があります。それが、最近すっかりSF漫画家からサッカー漫画家へ転身してしまった能田達規の「オーレ!」です。

前作「ORANGE」は田舎チームを引っ張る選手とその熱いサポーターたちの物語でしたが、「オーレ!」はなんと、市役所の小役人が主人公。プロットは映画化で有名になった「県庁の星」と同じで、アクアラインの開通で逆に廃れてしまった下総という街(木更津がモデルらしい)を盛り上げるために、「下総オーレ」なるヘタレチームを、日本のレアルマドリードにしよう! と奔走するという物語。

能田先生が描くだけあって絵も巧いし話も面白い。何よりサポーターの「熱さ」の描き方が半端ではありません。

「ORANGE」と似て非なる感じなのは、チャンピオンでは描けなかったのか、チームの運営費用(広告料とか予算)とか割と生々しい話が表に出てくることなのでしょうか。
さすがバンチ。社会派!(?) Jリーグの抱える現実問題も浮き彫りにしていて、いろいろと勉強になります。

しかし、どれくらい続くのか分かりません。そもそも弱小チームを題材にしたサッカー漫画は、一部リーグに上がるとか強くなっていくことで物語の先行きが無くなるという矛盾を内包しているからです。けれども、始まったばかりのこの物語は、間違いなくおすすめです。

サッカーファンにも、サッカーファンでなくても、純粋に情熱を持った漫画を楽しみたいと思っている人に手に取ってほしい作品です。
オーレ! 1 (1)オーレ! 1 (1)
能田 達規

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