2007年4月17日火曜日

フルーツバスケット

先日、23巻でついに完結した「フルーツバスケット」。アニメ化もされた有名作品ですし、ご存知の方も多いかと思います。

それにしても15、6巻くらいから結構グダグダな展開で、正直早く終わらないかなーくらいに思っていたものの、読み終わった後で正直にこう云えました。

「読んでよかった」。

一応ストーリーを解説すると、母を事故で失った少女、本田透流が“動物憑き”の呪いにかかった相摩家十二支+一支の人々と出会い交流し、その限りない純粋無垢さによって彼らの凍った心を溶かしていく、というお話。

動物憑きという設定はトンデモであり、登場人物もコメディもかなり強烈でスラップスティックな印象なのだけれど、その実「人と人の触れ合いは難しい」という、ある意味人間の根源の部分に深くメスを入れた人間賛歌作品です。

作者も作風もとてもやわらかく、はんなりとしている癖に「人間って所詮は他人同士だし、本当に分かり合うなんてちゃんちゃら可笑しいわ!」という絶望感がコマ間から溢れ出てくる。後半は特にその傾向が強く出てしまって、読む者を黒い気分で一杯にさせてくれました。

物語終盤に物凄いどんでん返しがあったので、正直収拾付かないんちゃうかと思わなくもなかったけど、やわらかく軟着陸してくれて、改めてああそうか。この作品の本質は伏線回収じゃないよね、と思った次第です。

相田みつをの書に「ひとりになりたい ひとりはさみしい」というのがあるけど、この作品を飾るに相応しい言葉だと思う。

よく「男も読める少女漫画」作品の中に名前があがることの多いフルーツバスケット。完結したついでに読んでみてはいかがでしょうか。

フルーツバスケット (1)フルーツバスケット (1)
高屋 奈月

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