2007年4月12日木曜日

砂時計

少年漫画を挑戦と挫折を描くものと定義するなら、少女漫画は人間の心と根源を抉るように描くものと自分は定義しています。

少女漫画がしばしば「恋愛」という舞台を借りているのは、それが人間が表も裏も裸になって挑まなければならない「戦い」として共感を得やすいから。

しばらく前に見事に抉られた「回転銀河」もそうだったが、「砂時計」も同様の作品でした。

抉られた。

人の強さという難しいテーマに挑み、大事なことをちゃんと、まともに正面から描き、答えを出しています。すばらしい。

8巻ラスト付近の主人公の台詞には、期せずして打ちのめされるハメに陥りました。となりで「はじめの一歩」を読んでたおばあちゃんに変な顔で見られたかも知れません(しかし、なぜあんな夜中に、しかもおばあちゃんが「はじめの一歩」を?

心の表層をさわやかになでる漫画が好きです。
共感に心を打ち震わせる漫画も大好きです。

しかしどうしても、自分はこの手の抉り系に、どうしても心惹かれてしまうらしい。読んだあとで苦しむのは自分なのに、困ったものです。

最後に作中の一文からの引用を。

「かけがえのない君に、限りない幸福を」

砂時計 (1)砂時計 (1)
芦原 妃名子

小学館 2003-08-23
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